直葬であってもお経をあげたい、また、その依頼方法や費用について知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、直葬でお経をあげる場合の依頼方法や料金の相場、注意点などをわかりやすく解説します。
こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
直葬で読経は可能
直葬であっても、読経を行うことは可能です。
もともと直葬とは、通夜や告別式といった儀式を省略し、火葬のみを執り行うシンプルな葬儀形式です。そのため、通常は読経を行わないことが多いのですが、必ずしも禁止されているわけではありません。
中には、「簡素な形式でも、せめてお経をあげて送り出したい」と願う遺族もいます。
また、菩提寺との関係がある場合などは、菩提寺側の意向によって、読経の機会を設けられることもあるでしょう。
そういった事情がある場合は、直葬の流れの中に読経の時間を取り入れることができます。
ただし、直葬で読経を依頼する場合、一般的な葬儀とは異なり、お経をあげるタイミングが前後することがあります。
例えば、火葬直前や、安置中の自宅で短時間だけ読経を行うなど、状況に応じて調整が必要です。そのため、事前に菩提寺や葬儀社としっかり相談し、希望する内容を伝えておくことが大切です。
直葬で読経が行われる場所とタイミング
直葬で僧侶に読経をお願いする場合、読経の場所は主に「安置場所」と「火葬場の炉前」の2つに分かれます。
安置場所とは、病院から搬送されたあとに故人を安置する場所のことであり、自宅や葬儀社の安置施設などが該当します。
ここで読経をお願いする場合、所要時間はおよそ10分程と言われています。
一方、火葬場での読経を希望する場合は、僧侶に直接火葬場へ来てもらう形になります。火葬場は基本的に予約制でスケジュールがタイトなため、長時間滞在することはできません。
そのため、読経の時間も5〜10分程度と比較的短くなります。火葬直前の限られた時間では、ゆっくりとお別れができないと感じる方もいるかもしれません。
直葬でお経を依頼する際の料金相場
直葬において、僧侶に読経を依頼する方法はいくつかあり、主に「僧侶派遣サービスを利用する」「関係のある寺院に直接依頼する」「葬儀社を通じて手配する」の3つが一般的です。
依頼方法 | 費用の目安 | 特徴 |
僧侶派遣サービス | 3万円~5万円 | 全国対応のサービスが多く、宗派を指定できる場合もある |
関係のある寺院に直接依頼 | 3万円~10万円 | 菩提寺がある場合、法要などの相談がしやすい |
葬儀社を通じて手配 | 3万円~10万円 | 葬儀社の提携僧侶を紹介してもらえるため、手続きがスムーズ |
なお、僧侶への読経の謝礼としては「お布施」を渡すのが一般的です。
金額の目安は上記の通りですが、地域の慣習や寺院との関係性などによって適切な額が異なるため、事前に寺院へ確認しておくと安心です。
直葬でお経を読んでもらう際の注意点
直葬であっても、僧侶に読経をお願いする場合は「お布施」をお渡しする必要があります。
お布施には一般的に「お車代」「御膳料」「読経料」「戒名料」などがありますが、直葬では通夜や告別式を行わないため、「読経料」と僧侶の移動費にあたる「お車代」のみを包むケースが多いです。
戒名をお願いする場合は、戒名料を別途用意します。戒名のランクによって金額が異なるため、事前に僧侶へ確認しておくと安心です。
なお、「お車代」は読経料とは別に包むのがマナーとされています。僧侶によっては「読経料に含めてもよい」とする場合もありますが、基本的には分けてお渡しするのが無難でしょう。
また、先祖代々の菩提寺がある場合は、直葬を選んだとしても事前に一度連絡しておくことをおすすめします。
火葬後に「納骨だけお願いしたい」と申し出ても、事前の相談がなかったことを理由に断られてしまうことがあります。
直葬でお経を読み上げてもらうメリット・デメリット
直葬でお経を読み上げてもらうメリット・デメリットとして、以下が挙げられます。
・最低限の宗教的供養ができる
・遺族の心の区切りになる
・親族や周囲の理解を得やすい
・費用が掛かる
・準備や手配の手間が増える
・宗教色が強くなる場合がある
メリット
最低限の宗教的供養ができる
直葬では通夜や告別式を省略するため、供養が物足りなく感じられることもありますが、火葬前にお経をあげてもらうことで、最低限の宗教的儀式が行えます。
特に仏教に馴染みのある家庭や、先祖代々の宗派を大切にしている家では、大きな安心感を得られます。
また、戒名の授与も可能であり、その後の法要や仏壇での供養にもスムーズに繋がります。
遺族の心の区切りになる
簡素な直葬では「きちんと見送れなかった」と感じる遺族も少なくありませんが、火葬前にお経をあげてもらうことで儀式としての意味が加わります。
10分程度の短い時間でも心の整理がしやすくなり、故人との別れに一区切りをつける助けとなるでしょう。
親族や周囲からの理解を得やすい
直葬は、高齢の親族や地域の風習に厳しい方から「非常識」と受け取られることも少なくありません。
火葬前にお経をあげてもらうことで「最低限の供養は行った」という姿勢が伝わり、誤解やトラブルを避けやすくなります。
デメリット
費用がかかる
直葬の大きな魅力は費用を抑えられる点ですが、読経を依頼すると別途お布施が必要になります。
相場は一般的に3〜10万円ほどで、戒名をお願いする場合はさらに費用がかかることもあります。予算を重視する方は、事前に僧侶や葬儀社に料金を確認しておくと安心です。
準備や手配の手間が増える
僧侶を呼ぶには、日程の調整や読経を行う場所の確保が必要です。火葬場や自宅など、どこで読経してもらうか事前に考えておく必要があります。
葬儀社に手配を任せられることもありますが、宗派の指定や特定の僧侶を希望する場合は、自分たちで連絡する手間がかかります。
そのため、直葬本来の「シンプルさ」から外れてしまう可能性がある点には注意が必要です。
宗教色が強くなる場合がある
読経を取り入れると、直葬であっても宗教的な雰囲気が強まります。
無宗教の方や仏教以外の信仰を持つ方にとっては、違和感を覚えることもあるでしょう。
また、「宗教的な儀式は避けたい」といった理由で直葬を選んだ場合、読経がその意向に反することにもなりかねません。故人の考えや家族の思いをよく話し合い、納得のいく形で判断することが大切です。
「直葬・お経」と調べた人が気になるよくある質問
直葬でも故人は成仏できますか?
直葬を選んだからといって、故人が成仏できないということはありません。 成仏に関しては、故人や遺族の信仰や心の持ちようが重要であり、葬儀の形式だけで決まるものではありません。
直葬であってもお経やお布施は必要ですか?
直葬では、僧侶を呼ばずに無宗教で行う場合、お経やお布施は必要ありません。
しかし、火葬前に僧侶を招いて読経をお願いする場合は、お布施が必要となります。
直葬でも戒名は必要ですか?
直葬の場合でも、戒名を授かることは可能です。 戒名を希望する場合は、僧侶に依頼して授与してもらいます。ただし、戒名を受けるかどうかは個人の信仰や考え方によりますので、必ずしも必要というわけではありません。
直葬であっても枕経は可能ですか?
枕経(まくらきょう/まくらぎょう)とは、故人が亡くなった直後に行われる読経のことです。
直葬の場合でも、僧侶に依頼すれば枕経を行うことは可能です。ただし、直葬では通夜や告別式を省略するため、枕経を行うかどうかは遺族の意向や状況によります。
直葬で僧侶を依頼した際に呼べる人数は何人ですか?
直葬で僧侶を依頼する場合、通常は1名の僧侶に読経をお願いすることが一般的です。
しかし、特別な事情や希望がある場合は、複数の僧侶に依頼することも可能です。その際は、事前に葬儀社や菩提寺と相談し、対応可能か確認しましょう。